相談事例
Q.人物が被写体となっている場合、その写真を自由にウェブサイトに掲載していいのでしょうか?それとも、どのような場合でも許可は必ず必要となるのでしょうか?
A.被写体本人の許諾なく写真をウェブサイトに掲載すれば、その肖像権を侵害することになります。そうなると、損害賠償、慰謝料、差し止めなどの請求を受ける可能性があります。
肖像権には、人格権とパブリシティ権があるため、よく検討していかなければなりません。
写真にかかわる権利問題
写真をウェブサイトに掲載することについては、
- 写真を撮影した人
- 写真に写っている人や物
にいくつかの権利が問題となってくるため注意を払わなければなりません。
写真を撮影した人の権利
写真を撮影した人は、「著作権」が問題となります。他のウェブサイトに掲載された写真を無断転用しているようなケースでは、写真の著作権を侵害する可能性があります。
写真に写ってる人の肖像プライバシー権
人は自分の顔などの肖像について、勝手に写真を撮られたり、使用されない権利を持っています。これが肖像権です。人格権としての肖像権をとくに「肖像プライバシー権」といいます。
写真に写っている人の肖像パブリシティ権
肖像権においては、「財産権」の側面があることも重要視されています。
肖像プライバシー権を侵害した場合
人格権としての肖像権を侵害することについて、刑法での罰則規定はありません。しかし、民事上では、慰謝料請求、差止請求が可能となります。
差止とは、侵害行為そのものをやめさせることをいいます。自分の写真が掲載された出版物の回収を求めることなどがあたります。
ネットにおける写真の危険性
インターネットでの肖像権の侵害は、大きな被害を生む危険性があります。インターネットは不特定多数のアクセスがあり、アップロードされた写真は多くの人の目に触れることになります。
ネット上の画像は誰でも保存、利用できるような状態となるため、被写体本人がコントロールすることは不可能に近くなります。
ネットでの誹謗中傷に関する相談件数は後を絶たず、もしも、中傷されている被害者の写真が掲載された場合、大きなダメージを受けることになります。写真はさまざまなことに悪用される可能性があるため、公開することの許諾を求められた場合は慎重に対応していかなければなりません。
許諾のとりかた
肖像プライバシー権の侵害の問題を回避するためには、撮影すること、撮影した写真を利用すること、の2つについて被写体本人の承諾を得る必要があります。
写真を利用する場合は、何のために、どのように用いるのかを明確に本人に説明していかなければなりません。
ただ、日常的にスナップ写真を撮る場合などは、わざわざ許諾を得ていないケースが多くあります。明確にやりとりがなくても、「黙示の許諾」で了解が得られていると考えてよい場合があります。