相談事例
Q.ウェブサイトの掲示板に、自分の会社を中傷する内容や営業妨害ともとれるような内容の書き込みがされていました。この投稿を発端として、当社の掲示板に多くの非難が寄せられ、営業利益が大きく減少してしまいました。ウェブサイトの管理人に対しては、どのような対処を求めることができるのでしょうか?
A.差し止め請求、不法行為に基づく損害賠償請求を行うことができると考えられます。また、損害賠償請求の場合は、プロバイダ責任制限法の要件に合わなければなりません。
プロバイダに対する削除請求
まずは事態の収拾のために、名誉を毀損している投稿を削除させることが必要となります。投稿者に対して、名誉毀損を理由として削除の請求をしていきます。
ただ、投稿者が匿名である場合が多く、直接削除を求めることも難しいため、プロバイダに対して、現在残っている投稿の削除を請求することが大切です。
手続きの流れを説明すると、まず任意の削除を求めて、これが履行されない場合は、裁判所に対して削除を求める仮処分の請求を行います。権利侵害であることがわかれば、申立は認められると考えられます。
損害賠償請求(プロバイダ責任制限法)
掲示板への投稿により発生した損害の賠償を求めて、民法709条に基づき、投稿者とプロバイダに不法行為責任の追及を行うことができます。
プロバイダは投稿したわけではありませんが、削除しないという不作為により名誉権を侵害していると考えられます。
プロバイダ責任制限法の3条では、他人の権利が侵害されたときは、送信防止措置を講ずることが技術的に可能な場合で、
- 1.プロバイダが情報の流通により「他人の権利が侵害されていることを知っていたとき」か、また
- 2.「情報の流通を知って」おり、かつ情報の流通により「他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき」でなければ賠償の責めには任じない
としています。
したがって、上記の要件に合致した行為のみが不法行為となることを定めているため、被害者は、これらの要件に合致していることを確かめたうえで、今後の請求を検討していくことになると考えられます。
結論としては、ウェブサイトの管理人に対しては、不法行為に基づく損害賠償責任の追及、、投稿の削除の請求をすることができると考えられます。