ファイル交換ソフトの注意点と問題点

相談事例

Q.会社の従業員が「便利なので、社内のパソコンにファイル交換ソフトを導入したい」と言っています。ファイル交換ソフトとはどのようなものなのでしょうか?また、ファイル交換ソフトを利用するにあたり、注意すべきことはあるのでしょうか?

 

A.ファイル交換ソフトとは、各ユーザーのコンピュータ同士をネットで直接接続し、お互いが保有しているファイル・データを交換できるようにするソフトです。

 

使い方によっては非常に便利なソフトとなりますが、会社の従業員が使用する場合は、使用者責任を問われたり、発信者情報開示請求を受ける可能性があります。

 

ファイル交換の対象である情報が他人の著作物の場合は、著作権を侵害する行為となることに注意しなければなりません。また、ダウンロードしたファイルにウイルスが混入している可能性もあり、個人情報や機密情報が流出する危険があります。

 

ファイル交換ソフトはメリットがある面、デメリットも非常に大きいため、知識があやふやな人は利用しないのが賢明です。

 

ファイル交換ソフトとは

通常、ファイル交換ソフトといえば、ピア・ツー・ピア型のファイル共有ソフトを指します。ピア・ツー・ピア(P2P)型とは、各ユーザーのコンピュータを直接接続して、それぞれが保有している情報を、サーバへのアクセスを経ることなく直接交換するものです。不特定多数の間でファイル交換が簡単にできるようになります。

 

ファイル共有システムには、センターサーバ有のハイブリッド型と、センターサーバが無いピュア型と呼ばれる方式が存在します。

 

ハイブリッド型

Napster、ファイルローグ など

ピュア型

WinMX、Gnutella、KaZaA など

ファイル交換ソフト利用時の注意点、問題点

ファイル交換ソフトは、世界中のユーザーと容易にファイル交換できるため、非常に便利なソフトといえます。ソフト自体には違法性もありません。

 

しかし、ニュースなどでも取り上げられているように、たびたび問題となっています。その大きな理由は、交換される対象のファイルに著作権があるためです。

 

自分の作った音楽、画像などを交換するのは問題ありませんが、第三者が著作権を有している情報、特に楽曲や映像の違法コピーが多数交換されているのが実情です。2000年にアメリカ合衆国で行われた調査によれば、インターネットユーザーの14%が、他人が著作権を有する音楽を無料でダウンロードしているという結果が出ています。

 

日本の著作権法における問題

 

それでは、他人の著作物をファイル交換の対象とすると、日本ではどのような法律・権利の侵害にひっかかるのでしょうか?

 

著作権者が専有する著作権には、自動公衆送信権、送信可能化権と呼ばれる権利が含まれます。楽曲の演奏者、レコード会社も、著作隣接権者として送信可能化権を有しています。

 

著作物を含むファイルを、その権利者から承諾を得ずして、インターネットを介して他人がアクセスできる状況においた時点で、送信可能化権を侵害することになります。市販のCDから無断でコピーしたファイルの場合は、楽曲そのものの著作権のほか、レコード製作者の権利も侵害することになります。

 

なお、市販のCDを自分で聞くために録音することは違法とはなりません。複製権の対象となりますが、個人的又は家庭内の限られた範囲で使用する場合には、例外として複製することが認められています。

会社としての注意点

ファイル交換ソフトを会社の従業員が使用する場合も、十分に注意しなければなりません。ユーザー自身が他人の権利を侵害する可能性もありますが、会社としても権利者から責任を問われることがあります。

 

従業員がファイル交換ソフトで違法コピーなどを交換の対象としてしまった場合、会社が権利を侵害された者から訴訟を提起される可能性があります。

 

会社は、従業員が社内で行った行為については指揮監督権限を有しているため、送信可能化状態に対する管理の責任が問われます。

 

また、ファイル交換ソフトの利用が会社の業務に関連したものであり、従業員を監督していないと判断されれば、使用者として損害賠償責任を問われる可能性もあります。

 

以上のような問題も起こりやすいため、ファイル交換ソフトの利用に関しては、限られた場合を除いて使用しないことをお勧めします。


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ファイル交換ソフトの注意点と問題点

ファイル交換ソフトを利用している人も多いですが、著作権を侵害する行為に注意する必要があります。会社の従業員が利用する場合も、使用者責任などを問われる場合があります。