相談事例
Q.自分のウェブサイトから、他人のウェブサイトにリンクを張ろうと考えています。ただ、リンクを張るのははじめてなのでよく分かりません。どのようなリンクの方法でも問題ないのでしょうか?
A.通常のハイパーリンク(別個のフレームに、リンク先をURLと共に表示する)は何も問題はありません。ただし、リンクには「フレームリンク」「イメージリンク」と呼ばれる、法的にやや問題がある方法もあるため、注意が必要となります。
リンクの仕方と著作権
リンクとは?
リンクは、あるウェブサイトを別のウェブサイトと関係づけて接続する機能です。ウェブサイトにリンクが張ってあれば、すぐに他のウェブサイトにとぶことができます。検索する手間が省けるので、ユーザーの利便性は飛躍的に高まります。
リンクはインターネットを特徴づける便利な機能の1つといえるでしょう。
リンクは原則として自由
通常「リンク」といえば、他のウェブサイトのタイトルやURLを表示し、ここをクリックすることでそのウェブサイトを表示する機能を指しています。これは「ハイパーリンク」とも呼ばれます。
インターネット上に置かれたウェブサイトは、全世界に対して公開されています。他のサイトからのリンクであっても、自分のサイトにアクセスされることには変わりません。リンクは「複製」ではないので、ハイパーリンクについては著作権の侵害の問題は起こりません。
ただし、相手のサイトにリンクを張る場合は、その旨を相手の管理者に伝えるのがネチケットと考えられます。リンクを禁止しているサイトも稀にありますが、リンクを張ったとしてもネチケットの問題であり、著作権の侵害にはなりません。
権利侵害の危険があるリンク
次に紹介するリンク方法は、著作権などを侵害する危険があるものです。気づかない間にしている可能性もあるので注意が必要です。
フレームリンク
リンクの設定によっては、新たなフレームを表示せずに、元々表示されているサイトのフレームのまま別のサイトを表示することも可能となります。これが「フレームリンク」です。
フレームリンクでは、リンク先のサイトのURLが表示されないため、利用者はリンク元を利用しているつもりで、知らない間にリンク先を閲覧していることになります。これはリンク先の著作権者の名前を表示する機会を失ってしまうこととなるため、「氏名表示権」を侵害する行為となります。
イメージリンク
リンク先のサイトから、画像だけを参照してリンク先のサイトを表示しない方法を「イメージリンク」といいます。
イメージリンクもフレームリンクと同様に、他のサイトにアクセスしていることを知らずに、そのサイトだけを閲覧している状態となるので、氏名表示権の侵害となります。オリジナルの配列を無視してデータの一部だけを用いる行為も、同一性保持権の侵害となる可能性があります。
このようなリンク方法は、リンク先の広告収入を減少させることにもなり、不法行為の責任を問われる可能性もあります。
深層リンク
リンク先のトップページを介さない表示を「深層リンク」といいます。相手のサイトが多数のページにわたっている場合などは、トップページよりも該当の箇所にリンクを張ったほうが便利になります。
フレームリンクやイメージリンクとは異なり、ユーザーはリンク元のサイトからリンク先のサイトに移動したことを意識でき、リンク先のトップページも表示させることは容易です。よって、ハイパーリンクの1つとして、著作権侵害を問われるまでの違法性はないものと考えられます。
ただし、相手のサイトのトップページのみにしか広告が表示されていない場合は、広告料の減少の問題が発生します。日本では判例はありませんが、イギリスでは裁判例があることも頭に入れておきましょう。