相談事例
Q.ある日、ホームページを紹介する電子メールが送られてきました。メールの内容に「電話番号はこちら」と書いてあったので電話をかけてみたところ、電話をかけた時点でサイトの会員に自動登録されるようになっており、利用料金を支払うよう請求されました。サイトの利用規約にも、電話をかけた時点で会員に自動登録されるという内容が書かれていました。これは利用料金を支払わなければいけないのでしょうか？
A.この事例では、電話をかけた側に契約を締結する意思はなく、利用契約自体も成立していないので、支払う義務はありません。
契約が成立しているのかどうか
本事例では、電話をかけた側に契約を結ぶ意思がなく、相手方との間に契約は成立していないので、支払義務が発生することはありません。
もしも、電話をかけた時点で利用契約を結ぶ意思があれば、契約の成立を認めることもありそうですが、これはほとんど考えられません。電子メールで送られてくる情報には限界があり、すぐ見ただけでサービスの詳細や利用料金などを把握できないためです。
電話をかける側の意図は、まず電話で直接たずねてみてから、納得できてからサービスの提供を受けると考えられます。よって、電話をかけただけではサービスを申し込む意思がないため、契約は成立することはありません。契約が成立していないため、支払義務も生じることはありません。
また、この事例では利用規約を定めており、いかにも支払請求が正当であるかのようにみせかけていますが、これは契約の成立を認める要因にはなりません。
利用規約に法的拘束力が認められるには、利用者に「利用規約は世の中の常識に沿った公平な内容になっているだろう」という信頼が前提とならなければなりません。
しかし、電話をかける側には、利用規約に則った契約を申し入れる意思がないため、規約にどのような定めがあったとしても、拘束力が生じることはありません。
なお、契約が成立しているかどうか疑問がある場合は、弁護士などの専門家、国民生活センターなどに相談することをお勧めします。